Health22.04.01
朝ランニングのトレーニング効果

朝ランニングのトレーニング効果

朝ランニングのトレーニング効果

こんにちは、Good Morning RUNのRyoです。
朝に走るということは、どんないいことがあるのでしょう。
朝ランニングの効果について、現在の科学的検証ではどうなのか調べてみました。
ランニングレベルによって知りたい情報が違うと思いますが、
「朝ランのトレーニング効果」について掘り下げていきます。

「朝ランニングは痩せるのか?」についてはこちら

 

まず1つの研究を紹介します。

対象と方法:20代の男性ランナーを対象にLT(lactate threshold:乳酸性作業閾値) ペースの30分のランニングを朝と午後で比較。(朝は起床後食事を摂らず、30分ほど経ってから。午後は、テスト前3時間は食事・カフェインは摂らず)

結果:体温の上昇は少し朝が遅く、自覚的運動強度と換気量は朝が大きかった。※1

以上より、LTペースの練習については、朝は午後より負荷が上がるようです。
インターバルトレーニング、ペース走やビルドアップ走など、負荷量が大きい練習は、朝より午後の方がいいと考えられている根拠ですね。
皆さんも感覚的に、朝から強度をあげるのはきついなーと思われているのはないでしょうか。

上記の研究のように、昔からアスリートにとっての朝練は、補助的なトレーニング(ジョギング)や、走り込みとして走行量を増やす時間帯、と捉えられていたようです。

そして、夕方に主なトレーニングを行っていたとされます。※2
世界で結果を出した、1980年代の男子マラソンや2000年代の女子マラソンの選手たち(宗兄弟、瀬古利彦、高橋尚子、野口みずきなど)も、朝練習の走り込みで成功を手にしたそうです。
毎朝40〜60分(10〜15km)を走る朝練習は、「補助的練習」でありながら月間走行距離の3〜4割も占める重要なトレーニングだったと考えられています。

 

 

 

それに対して、現在マラソン界を席巻している東アフリカ勢(特にエチオピア、ケニア)は、朝食前にメイン練習として10〜20kmを走り、夕方は軽いジョグをするそうです。
皇帝と呼ばれたゲブレセラシエも、早朝にメイン練習を行い、夕方に補助トレーニングをしていたとのこと。
アフリカの日中の暑さを避けるという要因もあるのかもしれませんが、科学的理由もありそうです。
その理由として以下が挙げられると思います。

まず先ほども述べたように、朝は体温が上がりにくいという特徴があります。
瞬発的パフォーマンスを必要とする種目では、体温が低いことはパフォーマンス低下にもつながるため、多くの種目で体温の高い午後の時間帯に良い成績が出るとされます。

ただ、長時間持久的運動をするマラソンのような種目になると、少し違ってくるようです。
むしろ、体温が上がりにくいことが有利になるとの指摘があります。
長時間の運動が制限される要因に「体温上昇」があります。
暑い日には、体温上昇を防ぐため、プレクーリングという方法をとることがあります。

プレクーリングとは、運動前に冷たい飲料を摂取したり、クーリングベストや手掌冷却法を用いて体温を下げる方法のことです。

東京オリンピック・パラリンピックでは暑熱環境下でのプレーが予測されたため、プレクーリングが積極的に利用されていました。※3

そして、前に述べた朝の体温が上がりにくいという状況が、プレクーリングと同じ効果があるかもしれないと考えられ、走り込みたい時には、体温が上がりきらずに走り続けられる朝練習が有効な可能性があります。

また、「朝ランニングは痩せるのか?」で述べたように、朝食前(低グリコーゲン状態)の練習は脂肪代謝が高くなっています。低グリコーゲン状態での練習が、マラソンでの脂肪代謝向上に有効という考えをもとに、「Train Low, Compete High」(トレーニングはグリコーゲンが少ない状態で行い、大会にはグリコーゲンが十分な状態で望む)というコンセプトも浸透しているそうです。

朝ランニングは、ダイエットにも、トレーニングの効果としてもいいようです。
ぜひ、晴れた朝に気持ちよく走ってみませんか?

 

※1 (Martin L, et al. Comparison of physiological responses to morning and evening submaximal running. J Sports Sci. 2001.)
※2 (岩山海渡ら. 朝練習のトレーニング効果. ランニング学研究. 2015)
※3 https://www.jpnsport.go.jp/jiss/Portals/0/jigyou/pdf/shonetsu2.pdf

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